理事長メッセージ

理事長 久松 憲明

平成5年鹿児島大学医学部卒。リハビリテーション科専門医として入院患者さんの病気や障害の治療に取り組む。
平成15年九州大学医療経営管理学大学院卒業。その後鹿屋市のリハビリ専門病院にて病院長として約10年間病院運営に携わる。
現在は、「在宅療養支援診療所ひさまつクリニック」で約450名の在宅患者さんを医師10名体制で担当している。
専門性を持ったスタッフがやりたい医療を実現できる環境、職場づくりに力を入れている。

理事長 久松 憲明

 在宅医療の世界に飛び込んだ理由を教えてください

退院して自宅に帰られた方をサポートし続けたい
リハビリ専門病院で働く中、一度退院された患者さんが再度入院されることも多くありました。
結局退院した時が一番ベストな状態だけど、帰られてからの生活によって状態が変わってくる。なかなか難しい問題だと感じました。
その後、家庭の事情で鹿児島市に戻ることになり、「自分のやりたい医療を追求したい。開業したい」と思うようになりました。その時、偶然読んだ雑誌に在宅医療の特集があったんです。ちょうどその頃は、在宅医療の制度が整って少しずつ広まり始めた時期でした。
「これが悩んでいたこと、自分が考えている医療だ。自分が今まで経験してきた知識、技術が生かせるところではないか」と思いやってみようとなったんです。

 在宅医療のやりがいや魅力はどんなところだと思いますか?

生活の場に直接訪問するので
困りごとに直接アプローチできるということが大きなメリット

在宅医療は生活の場に直接訪問するので、困っていることなどを患者さんやご家族と共有でき、実感することができます。そして課題に対し過剰でもなく過少でもない適切な評価ができるのです。困りごとに直接アプローチできるということが大きなメリット、これは在宅医療をやり始めて実感したことでした。生活の空気感を感じることができるんですよね。

自宅で生き生きと生活されている患者さんを見ると
家の力はすごいなと思います

患者さんが自宅に帰られると、病気や障害があっても生き生きとしてきます。家の力はすごいなと。自宅に帰るだけでご飯を食べ出すとか・・・よく経験することです。そういった場面に何回も巡り会えるということはとても魅力的です。

 在宅医療の医師にはどのようなスキルが求められますか?また身に付く医療でしょうか?

コミュニケーション能力、特に傾聴力、聴く力
伴奏者という心構えをもつことも大事です

コミュニケーション能力、特に傾聴力、聴く力が大事です。我々は患者さんのお住まいにお邪魔させていただく立場です。上でもない下でもない、パートナー、伴走者というスタンス、そういった心構えを持つことが大切だと思います。時には治療に向けて引っ張る立場だったり、そこまで医療的な介入が必要ないと思ったら一歩引いたり、そのような適切な判断ができることも必要なスキルです。

限られた環境の中での判断力
自宅で診療中、患者さんの状態によってはやはり急な対応を求められることもあります。できる検査は限られている、そういった中で状態を把握して、緊急性を判断することが必要になります。家族環境なども考慮しつつ、入院対応すべきか自宅でみていけるかなど必要な判断をするということが身に付いていきます。

 在宅医療に取り組むに当たって、心がけていることはありますか?

「逃げずに最後まで向き合う」ということです
医療が必要な方と言っても、重症な方、軽症な方さまざまです。在宅医療のかかりつけ患者さんだからと言って生活の場にあまり医療を持ち込まないことを意識しています。必要最低限にしたいです。
また、在宅ならではの環境の制限や社会的に弱い立場の患者さんも多いですが、我々が最後の砦となって逃げずに向き合っていきたいと思っています。

 入職後のイメージを教えてください。

まずは在宅医療について同行研修を
実際在宅医療を経験されたことがある方、そうじゃない方、またキャリアによっても違うと思いますが、まずは私を始めとした常勤医師と同行してもらいます。診療マニュアルもありますが、2週間から1ヶ月ぐらい、在宅医療について一緒に研修をしていただくかたちです。色々なイメージを掴んでいただく。そうして3ヶ月を過ぎたぐらいから、主治医として患者さんを担当していただきます。

 これからの在宅医療のあるべき姿は?

必要とされるものを提供していく
何が求められているかは常に考えていきたい

在宅に限らず、医療介護のサービスは地域に根ざしたもの、地道な活動です。現在当クリニックでは450名のかかりつけの患者さんを担当しています。一人ひとり地道なお付き合いを積み上げていくうちに今の数になりました。『必要とされる医療サービスを提供していく。』こうなりたいという目標は設定しておらず、必要とされるものを提供していきたい、何が地域の医療介護に求められているかは常に考えていきたいと思っています。

 ひさまつクリニックの目指すものは?

チーム、総合力で勝負できるようなクリニックを
スタッフそれぞれのやりたいことや得意分野が延ばせるような環境でありたいと思っています。苦手なところはお互いカバーしあえるように。個々を大切にしながら、チーム、総合力で勝負できるようなクリニックを作っていきたいです。

 ひさまつクリニックに関心を持たれた方へのメッセージがありましたらお願いします。

専門性を持ったスタッフがやりたい医療を提供できる職場づくりを目指しています
当院は、社会福祉士、医療ソーシャルワーカーが5名配置されています。診療をサポートするような他のスタッフも数多くいます。医師が診療に専念できるようにしており、自分の専門性ややりたい医療が発揮できるような体制を目指しております。医師一人だけで診療するのではなくて、一緒に診療に同行する看護師、ソーシャルワーカーなど複数の目で患者さんを診ることができるように配置しているので、経験が少ない方も安心して在宅医療に取り組んでいただけるのではと思います。法人全体としても離職率はかなり少なく、働きやすい職場であると自負しています。
在宅医療を必要とする患者さんは今後益々増えるといわれているので、ぜひいろんな方に来ていただいて、一緒にそのようなニーズに応えていければありがたいです。